2024年7月21日日曜日

1年を通した最適な血圧コントロール

 <1年を通した最適な血圧コントロール>

2024年7月21日講演会


■夏場の厳格降圧

・血圧目標の変遷

1991年60才以上で血圧160→140で脳卒中減った

2003年80才以上で血圧150→140で心血管イベントへった

2015年診察室外の血圧140→120で心血管イベント25%へった

診察室血圧で130→120で心血管イベント25%へった

診察室血圧で130→110目標で心血管イベントへった

高齢者でも120の方がよい(まず140、130)

130に戻ると心血管イベントが増えた


・日本高血圧学会2019年ガイドライン

正常血圧は、診察室で<120かつ<80

家庭血圧で、<115かつ<75


・臨床イナーシャ

高齢者でも120代がベストだが

予後改善見えにくい

とりあえず様子を見る

脱却のために

できるだけシンプルな治療にしたい

ARNI(サクビトリルバルサルタン)の導入


・夏場の降圧

気温10℃上昇で血圧5mmHg低下

夏でも夜間はあまり下がらない

RAS系(ACE、ARB)や

ACE(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)

ARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)

ARNIは、持続時間が長くないので

減量すると夜間血圧が上がりやすい

収縮期血圧<110で減量

早朝血圧上昇に注意

利尿剤やCCB(カルシウム拮抗薬)から中止/減量を


Q&A:白衣高血圧は下げなくて良いが、

将来家庭血圧が上がる可能性がある。


■腎臓生理から考える高血圧

・糸球体は入る血管も出る血管も動脈

ある程度血圧が変動しても(腎皮質血流)

糸球体圧は一定になるように

輸入細動脈、輸出細動脈が調節


・尿中食塩排泄は血圧と相関(尿中塩分血圧曲線)

食塩感受性では血圧を上げないと塩を出せない

曲線が横に寝てくる

食塩非感受性でも塩分が多いと高い圧がないと塩を出せない

曲線が右にシフト


・輸入細動脈の拡張が必要

若年者ではAGIIが関与→RAS系

高齢者では動脈硬化が関与→CCB

輸入細動脈は20μM、動脈硬化で狭小化すると半分に

赤血球(8μM)が1-2個しか通れない


・食塩摂取量が6g以上になると急激に血圧が上がる


・食塩感受性高血圧(夜間nondipper)

CKD(慢性腎臓病)、高齢者、DM(糖尿病)、肥満

利尿剤(Na再吸収抑制:でも限界あり)

ARNI(腎髄質の血流増加で尿Na排泄増加作用あり)


・まとめ

若年者:RAS系、+BB(β遮断薬)

食塩感受性(CKD、DM、肥満):+利尿剤/ARNI

高齢者:CCB、+利尿剤/ARNI