2024年2月25日日曜日

心血管カテーテル治療について

 ■急性冠症候群

・発症12時間以内のST上昇型心筋梗塞

 日本では90%以上でPCI(ステント治療)

・非ST上昇型心筋梗塞や不安定狭心症

 高リスクならPCI

 (薬物抵抗性の胸痛、心不全、致死的不整脈など)

 左冠動脈主幹部病変や

 重度な石灰化ではバイパス手術を検討

・IABPよりIMPELLA(カテーテル型の経皮的左室補助装置)


■慢性冠症候群

・不安定性の評価

 発症2ヶ月以内、高頻度、労作閾値の低下

・非侵襲的検査

 運動負荷心電図より

 冠動脈CTや負荷心筋シンチ

・安定狭心症

 ステントやバイパス治療より内科治療

・ステントの進化(第三世代)

・血管内画像診断(超音波、近赤外線)

・虚血評価にFFR≦0.8(冠血流予備量比)


■抗血栓療法

・高出血リスク

 主要項目1つ以上

(低体重:男<55kg、女<50kg、

 高度腎機能低下、貧血Hb<11、

 心不全、出血の既往、脳血管障害など)

 副次項目2つ以上

(75才以上、中等度腎機能低下、軽度貧血、

 NSAIDs内服など)

・高血栓リスク

 喫煙、ステント/バイパス治療、心不全、高齢など

・ステント治療後

 出血リスクが高いときは

 2剤抗血小板剤(DAPT)の期間は1から3ヶ月

 血栓リスクが高いときは

 2剤抗血小板剤の期間は3から12ヶ月

・DAPT後

 アスピリン単剤

 出血/血栓リスクとも高いときは

 クロピドグレル/プラスグレル


■末梢動脈疾患

・内服治療:抗血小板剤、スタチン、血圧管理

・LDL値は55低下

・β遮断薬は下肢虚血の増悪に関連ない

・血行再建後は、抗血小板剤と抗凝固薬併用もあり

・大動脈-腸骨動脈病変:カテーテル治療

 動脈瘤合併や腸骨から大腿動脈の病変では外科併用

・大腿膝窩動脈病変:25cm未満はカテーテル治療

・膝下動脈病変:長区間や再狭窄多く原則禁忌

 自家静脈が使えるかどうか


■大動脈疾患

・大動脈ステントグラフト留置術(EVAR)

・破裂予防目的から破裂例や解離例にも使用

・エンドリーク:動脈瘤内への血液の漏れ

 治療後に瘤径拡大や破裂の原因

 瘤から分岐・開存するすべての側枝を塞栓して予防


■心房細動

・CHADS2スコア

 心不全、高血圧、75才以上、糖尿病は各1点

 脳梗塞の既往は2点

・その他のリスク

 65才以上、心筋症など

・1点以上で抗凝固薬考慮

・カテーテルアブレーション治療

 自覚症状のある発作性心房細動が最もよい適応

・治療成績

 海外の報告:発作性で非再発率64から75%

 持続性で洞調律維持率46-59%

 日本の成績:洞調律維持率

 発作性で80%、持続性で76%

・術後の管理

 術後3ヶ月は術後炎症の影響で再発してもその後消失

 術後3ヶ月は抗凝固薬継続

 脳梗塞のリスクが高い場合は継続投与


■経カテーテル大動脈弁植え込み術(TAVI)

・適応:すべての有症候性大動脈弁狭窄症

・年令の目安:75才未満は外科的弁置換術(SAVR)

 80才以上はTAVI

・Tav in Sav:外科的生体弁術後で劣化したとき

・Tav in Tav:TAVI弁の劣化で2回目の治療


■経皮的僧帽弁形成術(MitraClip):

・カテーテルで弁にクリップをはさむ

・適応:左室駆出率>20%で外科的開心術困難

 有症候性の一次性および二次性重症僧帽弁閉鎖不全

 二次性では保存的内科治療が十分に行われていること