サル痘について
■概要
サル痘はオルソポックスウイルス属のサル痘ウイルスによる感染症で、1970
年にヒトでの感染が発見されて以来、中央アフリカから西アフリカにかけて
流行している。
■症状
ウイルスに曝露後、通常6-13 日(最大5-21 日)の潜伏期間の後に発症。
発熱、頭痛、リンパ節腫脹などの症状が0-5日程度持続し、発熱1-3日後
に発疹が出現。
皮疹は顔面や四肢に多く出現し、徐々に隆起して水疱、膿疱、痂皮となる。
男性間で性交渉を行う者の間で報告されている症例では、
外陰部に病変が集中している。
多くの場合2-4週間持続し自然軽快するものの、小児例や、あるいは曝露
の程度、患者の健康状態、合併症などにより重症化することがある。
皮膚の二次感染、気管支肺炎、敗血症、脳炎、角膜炎などの合併症を起こす
ことがある。
致命率は1-11%程度とされている。
■感染経路
主にアフリカに生息するリスなどのげっ歯類をはじめ、サル、ウサギなどウ
イルスを保有する動物との接触によりヒトに感染する。
サル痘はヒトからヒトに感染することがあり、主に接触感染、飛沫感染をす
るとされている。
■診断
主に水疱や膿疱の内容液や蓋、あるいは組織を用いてPCR 検査で遺伝子を検
出することが有用である。
サル痘の発疹は手掌と足底にも出現することが多く、水痘の鑑別に有用とさ
れる。
■治療法
我が国で利用可能な薬事承認された特異的な治療薬はない。
欧州においては特異的治療薬としてTecovirimat が承認されている。
■予防法
天然痘ワクチンによって約85%発症予防効果があるとされている。
流行地では感受性のある動物や感染者との接触を避けることが大切である。